歌舞伎座7月 夜の部

たまたま戻り席が買えたので初日に観劇
3Aの2列目上手だったので、なかなかの良席
ただ、左前に長身の男性がいて、時々視界が遮られてしまったのはちょっと残念。


夜叉ヶ池

昔付き合っていた娘と過去にデートで見に行った演目で
配役もそのときとほぼ一緒なので、それを思い出してなんとも言えない気分になる

その時は、これと海神別荘(美術は天野喜孝だった!サクラ大戦ミュでもあったっけ)
だったんだよなぁ・・

前に見たときは春猿が、白雪姫と百合の二役をこなしていたけど、
今回は白雪姫は笑三郎が担当

当時は「ヤンデレ」って概念がそんなに一般的では無かったけど
思えばこの白雪姫ってのは充分にヤンデレの要素を持ってるよなぁ・・ww

スーツや、山高帽、ちょんまげでないカツラを被った登場人物が
出てきたり、台詞も明治の設定なので仰々しい言い回しではなく
今風なので、歌舞伎というのはちょっと不思議な気もする演目だけど
妖怪やら、異界のお姫様やら、生け贄やら、あり得ない要素が登場する設定は
やっぱり歌舞伎。

今回は白雪姫と百合を別の人物が演じるので、クライマックスの津波のシーンとか
演出を変えるのかなぁと思ったけど、前と同じように長い布で津波
表現していたので、あそこは大がかりなセットは使わず、役者の動きで
魅せたいところなのかな。

監修の玉三郎は、それだけ若手の演技に期待してるんだろうな。

(幕間が今回は45分もあったので、ビールを買いに一旦外出、こんだけ長いと
 落ち着いて外に行けるのでありがたい)



高野聖

エビちゃんが喪な托鉢僧って設定は無理があるだろうww

DTフィールド全開の僧侶が、妖艶な美女の色香と葛藤するってのが
この芝居のキモなのに、エビちゃんにその役をやらせるのはちょっと
キツかったんじゃないかしら。

玉三郎の妖艶さはなんとも言えない感じが漂っていて、ゾッとするほど
存在感で、まさにこの作品に出てくる女そのものなんだけど、エビちゃん
宗朝には何とも言えない違和感が・・・

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080706/tnr0807060842003-n2.htm

玉三郎は、女の誘惑を振り切って山を下りる僧のイメージを
>「20歳のころの海老蔵さんの雰囲気にぴったり。今はそれより男らしくなった」。

確かにもうちょっと若いエビちゃんだったら、よかったのに・・という気はする。



舞台そのものは玉三郎なりの演出がふんだんに入っていて、光や回り舞台を
効果的に使った展開など、まったく飽きるところが無く充分に楽しめたし
泉鏡花の幻想的な世界観をうまく表現できていたと思うし、滝壺での水浴びのシーン
なんて、実によく考えれられていて、これまたなんとも言えず
艶っぽい。

エビちゃんもいい演技だったと思うんだけど、なんだかねぇ・・

やっぱりDTフィールドが見えてこそのこのシーンなのに、エビちゃんじゃ
それが見えないのはなぁ・・・
どうせなら、2ヶ月くらい女断ちでもして、この芝居に臨めばよかったのにww


イヤホンガイドの幕間で流れた玉三郎さんコメントによると「泉鏡花の小説を
演劇で読むような感覚の舞台を作りたい」とのことだったけど、どっちの演目も
それは充分に達成できてたんじゃないかしら。

高野聖の下座は尺八を使ったいつもとは違う音色で、泉鏡花の世界の
雰囲気にうまくなじんでいたので、また尺八とコラボする試みは
どこかでやってほしいところ。

まぁ、なんのかんの言っても、結局玉三郎マジックにかけられてしまったのは
さすがこの人の実力なのかしら。

#それにしても歌六の長台詞の上手なこと!
 先々月の新橋の四谷怪談の宅悦といい、ほんと脇には欠かせない人だなぁ・・