今月の歌舞伎 その2

歌舞伎座 第3部

  • 紅葉狩

後半の演目があまりにもぶっ飛んでいたせいで、なんだか印象が
薄くなってしまい、あまり内容が思い出せず。

印象的だったのは、巳之助演じる山神がなんとも言えない
怪演だったのと、勘太郎の鬼が変身前と変身後をうまく
演じ分けて、実にいい動きをしていたことか。

  • 愛陀姫

野田秀樹がオペラのアイーダを歌舞伎に翻案した作品

どんなもんが出てくるのだろうと思ってみたら、予想通り
歌舞伎ともオペラともどっちつかずの何かが出てきた。

台詞回しがあまりにもオペラを直訳してしまっているせいで
なんともいえない違和感。


歌舞伎なのに象が出てきたり、ヴェルディが流れたり、合戦シーンが映像になったり
最後の結ばれる二人の魂の演出とか、はちゃめちゃ過ぎて・・・・

決してつまらない舞台ではないのに、(むしろこんなに観ていてワクワクした舞台は
久しぶりなんだけど)、なんだかモヤモヤとした違和感がぬぐいきれないのは
なんでなんだろう?

歌舞伎じゃなくて、野田秀樹が普通の演劇として舞台でやったら
充分に面白いモノになったかもしれないのに、歌舞伎という縛りをいれてやる必要が
あったかどうかは・・・・

まぁ、これが野田歌舞伎だと思えばそんなもんかなー。

2chに「シリアスなシーンなのに笑っている観客が・・」云々という
意見があったけど、それに関して言えば観客も皆戸惑っているんじゃないかしら?

あぁいう風にスポットを個人に当て心情を独白させるというのは現代劇ではわりと
あるけれど、歌舞伎では馴染みがない手法だから、歌舞伎の観客が
うまくスイッチを切り替えられないのも当然と言えば当然のはなしだよ。


しかし、歌舞伎座の舞台でここまでやっていいのなら、今度は
中島かずきあたりと組んで「大江戸ロケット」なんてやったら
面白いんじゃないかしら?
江戸が舞台だし、なんか歌舞伎と親和性高そうだし。

勘三郎もはっちゃけるのなら、そのくらいはっちゃけてくれないかしら。